軟体動物について−古生物の部屋

軟体動物について

1.はじめに

日本の古生物学者の多くが軟体動物を研究している.軟体動物は,二枚貝,巻貝など,磯に行くと良く見かける生物をたくさん含んでいます.世の中軟体動物のパラダイスですね.

「貝の博物誌(佐々木猛智著)」を読んだのだが,そこには,陸上が昆虫の王国であるならば,海は軟体動物の王国であると書いてある.まさにその通りである.砂浜に行けば貝殻がたくさん転がっている.市場に行っても魚にならんでたくさんの貝が売られている.

ここでは,そんな軟体動物について紹介したいと思う.

2.軟体動物とは?

軟体動物とは,動物界に所属する軟体動物門のことで,その中には無板綱,多板綱,単板綱,頭足綱,堀足綱,腹足綱,二枚貝綱の7つの綱が含まれています.

この軟体動物門の特徴は,多細胞,無脊椎,左右相称(例外有り),三杯葉動物,後口動物,体節構造がない,真体腔が尿と生殖物質の形成の機能を担っている,の7つの形質で特徴づけられます.

一般的に,軟体動物は殻をもつ動物だと考えられていますが,タコやナメクジの様に殻を持っていない軟体動物もいるのです.

3.軟体動物の各分類群

さて,その軟体動物の各綱を見ていきましょう.

無板綱 (Aplacophora)

無板綱は,本当にこれが軟体動物かどうか謎だと言われたりもしましたが,退化した足や羽状の本鰓,そして歯舌を有することから,軟体動物であることがほぼ確定しています.この綱は,さらに2つの亜綱に分かれます.尾腔亜綱(Caudofoveata)と溝腹亜綱(Solenogastres)です.

右の写真は,溝腹亜綱の未同定種です.

無板綱は,写真のような芋虫状で,殻がありません.左右相称で,小型です.

神経系の形状などから多板綱に近縁であると言われています.

ちなみに採集は結構難しいらしい.

多板綱(Polyplacophora)

海岸の岩場に良くくっついているやつです.

一般にヒザラガイと呼ばれています.背側の中央部は殻板と呼ばれる殻で覆われています.この殻板は,全部で8枚の板からなります.ちなみに化石の多板類では7枚の殻を持つものもいます.

多板綱は,白亜紀上部まで産出する古ヒザラガイ目(Paleoloricata)と新ヒザラガイ目(Neoloricata)の2つの目に分かれます.

単板綱(Moplacophora)

残念ながら,私は化石でも現生でも見たことがない分類群である.単板綱は,現在では”生きた化石”としてオーストラリア付近の深海底にわずかに生息するのみである.

形は笠型で,左右相称である.殻の内側に収束筋の痕跡が8対存在する(化石では8対に限らない).

一度は,こいつを捕まえたいものだ.こいつは現在は深海底にしか生息していないが,化石ではカンブリア紀から結構産出する.また,体の器官は軟体動物の各綱と似通っているところが多くあり,軟体動物門の進化史を考える上で重要な分類群であることは間違いない.

腹足綱(Gastropoda)

以下未完....

二枚貝綱(Bivalvia)

掘足綱(Scaphopoda)

頭足綱(Cephalopoda)