東京都市大学 地学1 2009.11.19 第9回 大量絶滅


第9回 大量絶滅

授業概要

今日の授業のキーワードは,絶滅,大量絶滅,ビッグ5,白亜紀末の大量絶滅,隕石衝突,イリジウム,クレーター,津波堆積物,ペルム紀末の大量絶滅,チャート,海山,無酸素事変,パンサラッサ,火山活動,洪水玄武岩(洪水玄武岩の話は授業でほとんど触れませんでしたが),一次生産,光合成です.

参考となる本

絶滅古生物学

著:平野弘道,出版社:岩波書店,定価:3900円

配付資料

出席カードと絶滅と絶滅ではない生物の系統を示した概念図がセットになった1枚を配布しました.

授業への要望,聞きたい話,質問

一般に恐竜は絶滅したとされていますが,前の授業で一部鳥に進化した恐竜がいたと聞いたのですが,その場合「漸進的進化」となるでしょうか.それとも形態が全く違うものは「絶滅」なのでしょうか.

良い質問です.確かに恐竜の一部は鳥になったと有力視されています.これが正しいとするならば,鳥になった系統(竜盤目(ティラノサウルスとかを含むグループ)の一部)は絶滅していないということになります.しかし,鳥にならなかった竜盤目の系統や鳥盤類(カモノハシリュウなどを含む)はすべて白亜紀末で絶滅しています.

大量絶滅が周期的に起きているということに驚いた

この原因はまだよくわかっていませんが,面白い事象ですよね.なぜ絶滅が周期的に起きるのか.本当に周期性があるのか.今後の研究に期待大です.

もし化石がすべて見つかったら,そのあと何をしますか?

うーーん.何をしましょうか.私は化石が大好きですからね.何をしましょうか.最近は現在の深海にいる生物にも興味があるのでまずはそれら深海生物の調査を行うでしょうね.それから化石のことを子供達に伝える化石伝道師にでもなろうかと思います.

およそ絶滅の原因は隕石か火山だと考えていたが,酸素量低下による95%の生物種の減少には驚かされた.

そうですよね.全海洋が無酸素になるような現象は想像できませんよね.今日は大規模火山活動による酸素濃度低下について話をしましたたが,それ以外にもメタンハイドレードの崩壊による説などもあります.

ペルム紀の絶滅事変で約90%近くの生物が絶滅したらしいですが,その中で生き残った生物が何かはわかっているのですか?

はい.それはわかっています.例えばウミユリや腕足動物では科レベルで約80%が絶滅し約20%が生き残りました.二枚貝や節足動物では科レベルで27%が絶滅し,残りは生き残っています.ペルム紀で古生代が終わりますが,そのあとの中生代にはこれら多くの生き残りをだした二枚貝や節足動物が繁栄していきます.絶滅事変によって主役が交代したわけです.

現在も言われてみると絶滅種の動物がたくさんいることに気づきました.

その通りですね.現在人間活動によって起きている絶滅現象は,過去の大量絶滅よりも速いスピードです.これが続くと本当に大量絶滅となってしまいます.人類のせいで他の生物を死に絶えさせる現状はなんとか改善したいものですね.

無酸素状態なのに生き残った生物は,どうやって生き延びたのですか

酸素が完全になくなったわけではありません.当然動物は生きていましたから,酸素は少なからずあったはずです.おそらく,浅海の一部では酸素があったのでしょう.