東京都市大学 地学1 2009.10.22 第5回カンブリア紀から始まった捕食・被食関係


第5回カンブリア紀の爆発

今回の授業では,先週の続きとしてカンブリア紀のバージェス頁岩,澄江動物群の紹介をし,化石化作用,学名と命名規約,カンブリア紀から始まった捕食・被食について解説しました.

私は常々死んだら化石になりたいと思っていて,常に化石になるためにはどこに埋めてもらうのがいいだろうかと考えています.今日はそこら辺も少しお話ししました.

来週は,いつもの授業を大幅脱線し,「研究者の生活」について話をします.研究者の一日,一年,一生について,私の思うところなどを話します.工学系や建築系の学生にはあまり関係のない話かもしれませんが,まあ,聞いておいて損はないでしょう.ああ,こんな世界があるんだなというのを知っておいてくれれば良いです.

配付資料

今日は顕生代用のワークシートを配布しました.

授業への要望,聞きたい話,質問

パワーポイントの展開がはやすぎる

はい.すみません.なるべくゆっくりします.

全球凍結のときのように大量絶滅のビッグ5のときもそれぞれの時代の節目に生物は大幅な進化を遂げたのでしょうか?

そうですね.大量絶滅が起きると,複数のニッチ(生態的な空間のことで,例えば波打ち際の岩礁地帯とかそういう空間のこと)が空きます.そうすると,絶滅したグループ以外の生物が新たに進出することになります.そういう意味では,それぞれの時代の節目に大幅な進化が起きたといえるでしょう.

顕生代の五大絶滅のページでメモしきれませんでした.5つの絶滅の名前を教えてください.

オルドビス紀末,デボン紀末,ペルム紀末,三畳紀末,白亜紀末です.一番絶滅率が高かったのはペルム紀末です.このときは海洋の広い範囲で酸素欠乏状態となる超無酸素事変が起きたと考えられています.

ふと思ったのですが,「恐竜」ということばがありますけど,日本の絵画などで登場する「竜」とは何か関係があるのでしょうか.それとも恐竜も竜もsaurusに訳されることがあるからトカゲの種一種になってしまうの?

うーーむ.どうなんでしょうか.詳しく知りませんが,なんとなく関係している気がします.中国では昔から恐竜の骨が発掘されており,その骨を龍骨と呼んで漢方薬にしていました.昔の中国人は恐竜化石が出ることを昔から知っていて,その骨を見ていたから龍という生き物を想像したのかもしれませんね.

アンモナイトのガスは生きている時には影響はないのですか?(浮いてしまわないのですか)

アンモナイトは気房の中のガス量を調節することができたと考えられています.ガス量および気房の中に入れる体液(カメラル液という)の量を調節することで浮力の調整をしていたのでしょう.

新種の生物が人工的につくれるならば,化石でみつかっているような生物を生命として復元することはできないのですか?

昔の生物の全ゲノムがわかれば,現在の技術であれば,その生物を新たに作る(復活?)ことができるかもしれません.しかし,問題は,過去の生物の全ゲノムを知ることが極めて困難であることです.化石に残る形態のみからゲノムを復元することは不可能だと思います.

コンクリートでかためると化石になりますか?

そうですね.化石になりやすいと思います.もちろん,コンクリートも酸で溶けたり強いますので,溶けない環境にある地層に埋めてくれると,コンクリートで固められた生物も,将来化石になるかと思います.